1. 不正事例の概要

東証JASDAQ上場のインターネット広告事業A社の連結子会社B社において、以下の不適切な会計処理が行われていた。

 

l 売上計上されているにもかかわらず、請求書が未発行のままの売掛金残高が存在(売上高の過大計上)

 

上記の不適切な会計処理による連結業績への影響額は、平成2812月期において、合計220百万円の過大計上となった。

 

2. 事例研究の概要

上記1.の不正事例について、どのような監査手続を行えば発見できたかという観点から、下記の手順に従って研究を行った。

(1) 第三者委員会の調査報告書を読み、当協会が提供する仮説立案のフレームワークを利用して検討し、監査テーマを確定した。

<確定した監査テーマ>

  売上が架空または過大計上されるリスク

 

検討過程は、仮説立案ワークシート(※1)に記載の通り。

 

(2) 当協会が提供する仮説検証手続立案のフレームワークを利用して、上記(1)の監査テーマを検証するために必要なデータの特定、CAATsを利用した監査手続の立案を行った。

 

<不正や誤謬が生じた場合に現れる事象>

l  請求書が未発行であるため、売掛金が滞留する。

l  請求書が発行されているが未入金のため、売掛金が滞留する。

 

<立案した監査手続>

@入金期日をキーに、請求書未発行の取引を抽出して受注申込書や発注メール等の証憑との突合せを行う。

A請求書発行済み取引のうち、入金期日が過ぎているにもかかわらず未入金の取引を抽出し、受注申込書や発注メール等の証憑との突合せを行う。

 

検討過程は、仮説検証手続立案ワークシート(※1)に記載の通り。

 

(3) 上記(2)で立案した@、Aの監査手続について、当協会が提供するデータ処理手順書のひな型を利用して、CAATsツールを利用した監査手続の具体的な手順を計画した。
計画した監査手続の手順は、データ処理手順書(※2)に記載の通り。

 

(4) 上記(2)で特定した必要なデータをもとに当協会が作成したデモデータ(※2)を利用し、上記(3)のデータ処理手順書に従い、CAATsツールを利用して監査手続を行った。
CAATs
ツールを利用して監査手続については、ACL Analyticsのプロジェクトファイル(※2)をご参照。

 

(※1)法人会員、正会員および準会員の方にご覧いただけます。

(※2法人会員および正会員の方にご覧いただけます。

 

 

研究報告の成果物をご自身の業務のヒントとしてご活用いただけますと幸いです。

法人会員の方および正会員の方は、データ処理手順書、ACL Analyticsのプロジェクトファイルおよびデモデータをご利用いただけますので、ACL Analyticsの操作も併せてご確認ください。

 

 

以上